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選択の視点【No.292、293】

今回は、未破裂脳動脈瘤の手術に関する病院側の責任が認められた事案を2件ご紹介いたします。

No.292の事案の紹介にあたっては、一審判決(ウエスト・ロー収録)及び差し戻し後の東京高裁判決(平成19年10月18日判決・判例タイムズ1264号317頁)も参考にしました。

差し戻し後の東京高裁判決は、慰謝料の額(800万円)を検討するにあたり、患者が、動脈瘤が存在したとはいえ、症状を伴わず、妻と平穏な生活を送っていたところ、生命に危険性を与える療法について十分な情報と熟慮する機会とを与えられないまま、療法の選択を迫られ、結果的にはその療法を選択したために死亡するに至ったのであって、十分な情報と熟慮の機会を得られなかったことによる精神的苦痛は甚大であると判示しました。

No.293の事案では、原審(名古屋地方裁判所平成24年2月17日判決)は、担当医師の手技上の過失を認定しただけでなく、担当医師が開頭術又は血管内治療を選択するかにつき熟慮する上で重要な情報である開頭術の利点について患者に十分な説明をしなかった結果、患者が血管内治療を選択したと判示して、担当医師の説明義務違反も認定しましたが、控訴審は、手技上の過失を認定し、その余の点については判断するまでもないとして、説明義務違反について検討することなく、病院側の控訴を棄却しました。

両事案とも実務の参考になろうかと存じます。

カテゴリ: 2015年8月10日
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